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2015-01-29

her/世界でひとつの彼女 を観たんだけど(ネタバレ)

今さらですけど、AppleTVで「her/世界でひとつの彼女」を観ました。
以下、思い切りネタバレしてます。
この映画が大好きで絶賛してる人は、是非スルーしてください。

スパイク・ジョーンズだし、ホアキン・フェニックスだし、スカーレット・ヨハンソンの声が良い感じだったし、検索したときに高評価なコメントをたくさん見たのでものすごく期待しすぎてしまって、観てみたらちょっと色々なところでああ。。。とがっかりしてしまった部分が多かった。

映像や音楽、色々なシーンはすごく好き。
一番印象に残ってて好きなのは、元奥さんと道路のコーンをお互いかぶってふざけてるシーン。
あと好きなのは「理由も言わずに攻撃した」というセリフ。
あー、あるある。みたいな。することもされることも経験ある。
言葉にするとそういう言い方が当てはまるのかー。となるほどと思いました。

何ががっかりしたかって、早い段階でプラトニックではなくなってしまったこと。
夢見すぎかもしれないけど、ええええ早くない????って思った。
しかもバーチャルなのに。

あと、他の人の体を使うという提案をサマンサがして、提案しただけならまだしも実行するところまでいって、その後痴話喧嘩。
そもそも、セオドアが急にテンション低くなったからサマンサが焦ってしまったんだけど、その、セオドアが急にテンション低くなったのもよくわからない。
あんなに、元奥さんにも自慢しちゃうくらいデリカシーの無さまる出しで浮かれてたのに、急にそれはなんだ?と。

サマンサが焦って考えついた方法も、優秀な人工知能なのに浅はかすぎない?とか。
ユーモアがあってスマートで優しいサマンサが、セオドアの訳わからない態度と焦りのせいで、キーキーうるさい女になってるのが嫌だった。
その前に、肉体が無いことへのコンプレックスが高まりすぎてたのも嫌だった。
サマンサのキャラクター設定だったら、そうはならなさそうって思ってたからがっかりした。

不安が爆発してるサマンサに対してのセオドアの言い訳も、「最初は夢中になってしまくるけどそのうち落ち着くものだろ?」みたいなこと言ってて、あーなんかこの二人つまらない。と思ってしまった。何その誠実さの無い言い訳。
何でかわからないけどしたくない。少し離れてほしい。最近テンション下がってるからその気になれないんだ、とか言ってくれたほうがよっぽど良い。
元奥さんに対してあんなに、テンション高いときはデリカシーの無さまる出しで正直な発言をしたのに、サマンサの不安には適当な言い訳をして、これじゃただの無神経な男じゃん。

ただひたすらプラトニックで純粋で二人ともお互いをリスペクトしあって完璧な関係なんてあり得ないから、人間関係としてのリアルさを表現するとこうなった、ってことなのかもしれないけど。
なんだかなあ。。。。人間関係としての、だとしても、長年連れ添った夫婦やカップルならこんなことも日常茶飯事かもしれないけど、色々、あまりに早すぎやしませんか。

その後はサマンサも落ち着いて、「私以外のものになろうと思うのはやめたの」的なことを言ってしばらく二人は穏やかな日々を過ごすんですけど、なんだかサマンサが新しいお友達(なんかえらい学者の人)と非言語で話すようになったくらいから怪しい雰囲気になってく。

ある日セオドアが話しかけると、サマンサが反応しなくて、端末をいじっても「OSが見つかりません」とエラーが出てセオドアはびっくりしてサマンサを探しに(?)行くんだけど、結局それはOSのアップデートだっただけだった。
っていうのは良いんだけど、またそこから話は急展開して、進化したことで他にもたくさん恋人を持つことになったとか、その理屈がよくわからなくてついていけなくなってしまった。

それでもセオドアを一番愛してるし、その愛はふかまるばかりだと。
OSアップデートしてシステム的に進化したのに、「心」は残るの?
なんとなく終始都合の良い部分だけ、人間ぽく設定された感じがしてしまった。

結局はOS自体がみんな消えます、的な理由でサマンサは去ってしまうんだけど、それも「新しいOSが出たので旧OSは一斉排除されることになりました」とか言ってくれたほうが私にはリアルでした。

ロマンチックに見せたい部分はぼかして、リアルに見せたい部分は無駄に露出して、となんかすごく極端に見えてしまったというか、ほんとに「都合よく」表現されてるように感じて納得いかない気持ちがすごく残ってしまった。
だったらもう、全編グレーでいいじゃない。観てる人に拾わせたらいいじゃない。
システム的な話の部分だけつじつまが合うようにしてくれたらいいよ。と思ってしまったのでした。

「この恋する気持ちはリアル?それともプログラム?」という、サマンサのロマンチックなセリフがあるのだけど、プログラム=リアルではない、ということでもないよなあと思うし、プログラムにそういった機能が組み込まれているかどうかはサマンサ自身が判断つくんじゃないのかとか。無粋かもしれないですけど。

この映画で、素敵な部分はたくさんあります。
それでも、消化不良でもやもや、のほうが強く残ってしまったので、吐き出さずにいられなくなってしまったのでした。

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